【2022年ウクライナ危機】ロシア、ウクライナ侵攻の続報(26日・27日)と市場の反応

【2022年ウクライナ危機】ロシア、ウクライナ侵攻の続報(26日・27日)と市場の反応

※開戦までの経緯と開戦日は↓を参照して下さい。

【2022年ウクライナ危機】ロシア、ウクライナ侵攻のまとめと開戦日の市場の反応

※28日は↓を参照して下さい。

【2022年ウクライナ危機】ロシア、ウクライナ侵攻の続報(2月28日)と市場の反応

※ファクトチェックが不十分でフェイクニュースがあるかもしれない点をご留意下さい。

ウクライナの抵抗

計画的な電撃作戦で一気に侵攻したロシアも、ウクライナ軍の頑強な抵抗に勢いが減速しました。

25日首都キエフ攻略を前にゼレンスキー大統領の呼びかけで停戦交渉が行われるとの報道があり、25日(金)の世界市場は大幅高で引けていました。
※日本は夜間で先物のみ上昇

27日交渉は行われませんでした。
ロシアはウクライナ側が交渉を拒否したと言いましたが、ウクライナ側はロシアが受け入れ難い条件(敵国であるベラルーシでの交渉)を突き付けて来たためと交渉拒否を否定しました。
(※停戦交渉というよりは降伏条件に等しい内容をロシアが突き付けたとの報道あり、また武器放棄を要求されたとの報道あり)

これを受けてロシア軍は中止していたキエフへの侵攻を再開するも、ウクライナ軍の抵抗は激しく思うように侵攻出来ない模様。
制空権は奪われず。ウクライナ空軍やミサイル防衛は稼働中。

第二の都市ハリコフでは市街戦に突入。
※27日21時(日本時間)、ハリコフ知事がロシア軍を追い出し支配権を取り戻したと言ったとの情報

戦闘再開及び、欧米のロシア制裁で見送られると報道されていたロシア銀行のSWIFT排除が一転決定されるニュースが流れると、サンデーダウが一時-500ドルまで急落しました。

(2月27日(日) 21:00時点のサンデーダウ)

ゼレンスキー大統領が逃げたとのロシアの情報戦が行われますが、すかさずゼレンスキー大統領は逃げていない事をSNSに投稿しました。またアメリカからの退避協力を断りウクライナで戦い続ける事を表明。

「私がウクライナ軍に降伏を指示したというフェイクニュースがたくさんある。だから聞いてほしい。私はここにいる。我々は武器を置いてないし、祖国を守っている。我々の武器は真実、祖国、子どもたちだ。そして我々はそれらを守るつもりだ。」

ウクライナは民兵を募り徹底抗戦の構えでキエフ攻略が民兵を巻き込んだ市街戦になる恐れもあります。

東部ドニプロで公園で火炎ビンを手作り(BBC)

また、悪逆非道で名高いチェチェン共和国の指導者カディロフの私兵、カディロフツィがロシアの援軍として7万人キエフに派遣されるとの事です。市街戦のプロでもあり、民間人も平気で殺すため被害の拡大が懸念されます。

27日 22:30頃(日本時間)プーチン大統領、NATO各国の制裁巡る対応受け、ロシアの抑止力(核戦力を匂わせる)を特別な任務体制に移すことを命じる。
※24日の演説でも核使用に言及
※このニュースで恐らくサンデーダウ100ドル程下落(-300ドル→-400ドル)

27日 22:40頃(日本時間)にウクライナ大統領府が「ロシアとの和平協議(前提条件なし)をベラルーシとの国境で行う予定」との報道。
※サンデーダウは約100ドル上昇し-300ドルに

ただし、ゼレンスキー大統領は「交渉に大きな期待はしていない」と表明。

キエフの放射性廃棄物処理施設にミサイルが着弾したほか、ハリコフにある同様の施設の変圧器が被害を受けた事でIAEA緊急理事会開催。

ロシアの状況

  • 若い捕虜が「演習だと聞かされていた」と答える
  • ウクライナ発表「ロシア軍死者3500人 捕虜 200人」
  • ロシア、クラスター爆弾を東部ドネツク州の病院に使用し、民間人4人が死亡、医療従事者6人を含む10人が怪我
  • ロシア軍は兵力の3分の2をウクライナ領内に投入
  • 三日目で早くも燃料・食料が尽き始め現地調達(略奪)開始。兵站問題は特にハリコフで深刻

メリトポリで略奪するロシア兵

立往生するロシア軍の装軌式汎用装甲車
撮影者「故障かい?」
ロシア兵「燃料切れだよ」
撮影者「ロシアまで牽引してやろうか」
ロシア兵爆笑

撮影者「キエフに行くのか?」
ロシア兵「いや、何か戦況のニュース聞いてる?」
撮影者「キエフが有利だ。多くのロシア兵が降伏している」

幸乃ちゃん
幸乃ちゃん

世界有数の産油国が燃料不足という皮肉。そして隣国で三日も補給が持たないって兵站稚拙過ぎでしょ

捕虜となった兵士(特に若い)の証言では「どこに行くのか知らされていなかった」「演習だと思っていた」「歓迎されると言われていた」と証言してて、食料もほとんどない、上官とも連絡取れない状態で敵地に放り込まれたらしいよ

  • 北から迫るロシア軍はキエフから30キロ地点にとどまる
  • 南部マリウポリに迫るロシア軍は50キロ地点に到達
  • ロシア国内の反戦デモが広がり、30以上の都市で3000人以上を拘束(人権団体OVDインフォの報告では40以上の都市で5000人以上)
  • 27日ウクライナ発表「ロシア軍兵士約4300人を殺害し、戦車146両、軍用機27機を破壊」
  • 27日ロシア発表「ウクライナ南東部のヘルソンやベルジャンスクを完全に封鎖し、周辺の空港や都市も支配下に置いた」
  • プーチン大統領、NATO各国の制裁巡る対応受け、ロシアの抑止力(核戦力を匂わせる)を特別な任務体制に移すことを命じる
  • ロシア中央銀行は27日、28日に実施するオペレーション(公開市場操作)について、資金供給額に制限を設けず実施する方針

経済制裁

欧米を中心に一早く発表された第一弾に続いて第二弾と続々とロシアに対する経済制裁が発表され、民間もこれに追随。

お決まりの資産凍結・貿易制限・金融取引制限・渡航制限が次々と発表されましたが、今回はなんとSWIFTからのロシア銀行の排除という思い切った制裁が取られました。

SWIFTとは世界200カ国以上が加盟する国際銀行間送金ネットワークで、1日あたり5兆ドルが決済されており、これが使えなくなるとロシアの企業は国際取引が出来なくなります。
SWIFTからの排除は「金融版の核兵器」と言われています。
ロシア経済への影響は大きく、通貨危機をもたらしロシアのGDPは数%縮小する可能性があります。
ただし、ロシア以外への影響も大きく石油・天然ガス・小麦・パラジウム等の価格が上がる事が想定されます。
従って2014年のロシアによるクリミア半島併合の時は発動されませんでした。

※中国は各国のロシア制裁に反対

各国のロシア制裁の詳細
■アメリカ
・金融機関の取引制限
 ロシアの5つの大手金融機関について、ドル建ての取り引き制限(資産ベースで、ロシア国内の銀行の80%が制裁の対象)。それらの金融機関は天然資源の会社に融資をしているためロシア経済に幅広くダメージを与えるのが狙い
 ロシア中央銀行保有の6300億ドル(72兆円)の外貨準備を自由に使えないように規制(通貨ルーブルの下落を下支えできないようにするため。急激な物価上昇などで経済に大きな打撃)※米英独仏イタリア、カナダの6カ国と欧州委員会が合意
 (28日)米国人や米企業によるロシア中銀やロシア財務省、政府系ファンドとの取引を禁じる
・資産凍結
 前述銀行とプーチン大統領の側近の家族らの資産の凍結
 (28日)米国内のロシア中央銀行の資産を事実上凍結すると発表
・ロシア企業の資金調達規制
 ロシア企業13社がアメリカ市場で新たな株式や社債の発行をできなくする規制
・ハイテク製品の輸出規制
 ロシアによる最先端技術へのアクセスを断つためのハイテク製品の輸出規制。ロシアの輸入の50%が減少する見込み
・NATOの防衛体制強化
 7000人規模のアメリカ軍の部隊をドイツに追加で派遣
・航空制限
 (3月2日)ロシアの航空機の領空通過を禁止

■EU
・資産凍結
 プーチン政権幹部や関係者、ロシア新興財閥(ヨットや高級住宅など資産凍結と警告)
・貿易制限
 ウクライナ東部の親ロ派2地域とEUの通商を禁止。ロシアへの石油精製や航空機を対象にした禁輸を実施し、半導体などハイテク製品の調達も難しくする
・金融機関の取引制限
 ロシアの銀行や国有軍事企業などの金融市場へのアクセスを大幅に制限。ロシア支配層の欧州での資産隠しも封じる
 ロシア中央銀行との全ての取引を禁止
・渡航制限
 ロシア高官らへのビザ制限・渡航禁止
・航空制限
 ロシア航空機、領空内での運航禁止
・メディア制限
 ロシア政府系メディアのEUでの活動を禁じる
・イタリア
 (3月2日)ロシア北極圏LNG事業に融資停止

■イギリス
・資産凍結
 すべてのロシアの銀行資産の凍結(「VTBバンク」の資産は即時凍結)。ロシアの貿易のおよそ半分はアメリカドルやイギリスポンド建てで行われているため、これらの通貨による決済が難しくなる。またプーチン政権と近い100を超える企業や実業家も対象。
・ハイテク製品の輸出規制
 通信機器や航空関連の部品など安全保障上、重要とされる製品について、軍事目的に転用できないようロシアへの輸出を禁止
・渡航制限
 プーチン政権と近い100を超える企業や実業家に対しイギリスへの渡航禁止

■日本
・資産凍結
 ロシアの政府系銀行など3つの銀行、ロシアの個人・団体、親露派2地域関係者などへの資産凍結
・ハイテク製品の輸出規制
 ロシアの軍事関連団体への輸出、国際的合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品のロシア向け輸出規制
・渡航制限
 ロシアの個人・団体、親露派2地域関係者などへの査証(ビザ)発給停止
・貿易禁止
 親露派2地域との輸出入禁止
・金融制限
 ロシア政府が発行または保証する新たな債権の、日本での発行・流通の禁止
 (28日)ロシア中央銀行との取引を制限
※ウクライナ南部の港に停泊中の日本の貨物船がロシアからミサイル攻撃を受け一人軽傷。ロシアの報復の可能性あり
※(28日)ベラルーシのルカシェンコ大統領らを制裁対象に加える
※(3月2日)ロシア軍機が根室沖領空侵犯(バルト海ではスウェーデン領も領空侵犯)

■トルコ
・ロシア軍艦の黒海入域を禁止

■スイス
・(28日)ロシアに対し欧州連合(EU)と同じ内容の制裁を科すと発表。プーチン大統領の個人資産を制裁対象に含み、スイスにある資産を凍結
・(28日)プーチン大統領の側近5名に対しスイス入国禁止の制裁発動
※中立のスイスが異例のロシア制裁

■ノルウェー
・ロシアを政府系ファンドから脱退させる手続きを開始

■韓国
・(28日)対ロシア戦略物資の輸出中止

■中国

各国の対ロシア制裁に反対

■SWIFT
国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手銀行等10の銀行を排除。全銀行の排除は欧州経済への影響が大きすぎるため見送った。尚、日本も参加を決定

民間の制裁の詳細
・ポーランド、スウェーデン、チェコがワールドカップ予選でロシアとの対戦を拒否
・ノルウェーオリンピック委員会、全ての国際スポーツ大会にロシアとベラルーシが参加しないように要請
・世界中のスポーツ大会でロシアとベラルーシ締め出しの動き
・世界でロシア産ウォッカのボイコット
・ハッカー集団「アノニマス」、ロシアに宣戦布告
 →ロシアの主要な行政サービスのウェブサイトが前例のない規模のDDoS攻撃を受けた
 →ウクライナでネットが遮断されないようにするための取り組み
 →ロシアの国営テレビをハッキングし、ロシア政府が隠してるウクライナの状況を伝える
 ※いずれも否定意見もあり真偽不明
 →海上交通データをハッキングしプーチン所有の9700万ドルの豪華ヨットがウクライナのスネーク島に衝突したように見せ、目的地を「地獄」に変更
 →モスクワのEV充電器にハッキングし使用不可にした上、画面表示に「プーチンは馬鹿」「ウクライナに栄光を」と表示
・国際柔道連盟、プーチン大統領の同連盟名誉会長の職務を停止
・グーグルとメタ、ロシアメディアの広告規制、メタはロシア国営メディアのアカウント制限、ツイッターはロシアで一部の利用者に対して利用制限
・英石油大手BPは19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式を売却しロシア国内での合弁事業も全て解消し、同国から事実上撤退すると発表
・(28日)IOC、ロシアとベラルーシ両国の選手、役員を国際大会から除外するように全ての国際競技連盟に勧告
・(3月1日)マスターカードは、ロシアに対する制裁で複数の金融機関を排除です。クレジットカード決済からもロシアの金融機関が排除
・(3月1日)米フォード・モーター、独BMW、ロシアでの自動車生産と輸出を停止
・(3月1日)米アップル、ナイキ、ロシアで全商品の販売停止 アップルペイ利用も制限

ウクライナへの支援

  • アメリカ、最大3.5億ドルの軍事支援 対戦車ミサイルなど
  • ドイツ、ウクライナへの武器(対戦車砲1000発・携帯型地対空ミサイル500発)供与決定 慎重姿勢を転換
    ※ヘルメット5千個しか支援してなかったのが国際的に嘲笑されていた
  • ポーランド、ウクライナ難民15万人受け入れ
    ※ポーランド首脳「ウクライナは自国の自由のためだけでなく全欧の自由のために戦ってくれている」
  • 楽天三木谷氏、ウクライナ政府に10億円寄付
  • イーロンマスク氏、ウクライナで衛星ネットサービス開始
  • 日本、1億ドルの緊急人道支援
  • EU、ウクライナに武器や装備品の購入にあてる資金も供与
    ※戦争状態にある国に武器を供与するのはEU初
  • デンマーク、ウクライナ義勇軍参加容認
  • (2月28日)フランス外国人部隊がウクライナに到着
  • (3月1日)ブルガリア16機のMiG-29と14 機のSu-25、ポーランドが28機のMiG-29 、スロバキア🇸🇰が12機のMiG-29を提供
  • (3月1日)ウクライナへの義勇兵に70人の日本人が応募
  • (3月2日)日本の6万人超から20億円近い寄付

余談

機関銃を持つロシア兵にヒマワリの種を渡そうとする女性。兵士が死ねばそこからヒマワリが生えるから。
※ヒマワリはウクライナの国花

ロシア軍の戦車列の前に立ちはだかって進軍を止めさせるウクライナの非武装民間人

スカイツリーがウクライナカラーに

ロシア国営通信(RIAノーボスチ通信)が2月26日午前8時(モスクワ時間)にあらかじめ掲載する予定だった「勝利記事」を誤配信しました。すぐに削除されましたが目ざといネットユーザが保存しており世界に拡散。ここから侵攻48時間で勝利する予定だった事、及びプーチンの考え(国際秩序を変えようとした、偏った歴史観によるウクライナ(キエフ公告)への固執)、アングロ・サクソンへの敵意)が分かります。

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