【不法侵入】他人の山林で昆虫採集、山菜取り、キノコ狩り・鉱石拾い、キャンプしていいの?【森林窃盗罪】

【不法侵入】他人の山林で昆虫採集、山菜取り、キノコ狩り・鉱石拾い、キャンプしていいの?【森林窃盗罪】

最初に

他人の山林で昆虫採集や山菜取りをしていいのか悩みますよね。

まず不法侵入という法律用語はなく、住居侵入罪(刑法130条)・軽犯罪法1条32号が適用される事、そしてそれと森林窃盗罪は切り離して考える事が大事です。

また法律の解釈の相違が発生する余地があり、裁判が行われて初めて白黒決着する訳ですが、裁判が行われていない場合が多くグレーとなっているケースが多い点に注意してお読みください。

結果から

  • 他人の山林(囲いや看板等で立ち入り禁止が明示されている場合を除く)で昆虫採集・キャンプをしても良い
  • 他人の山林で山菜取り・キノコ狩り・鉱石拾いをしてはいけない
  • 他人の山林で鳥獣の狩猟をしても良い ※ただし期間や狩猟対象は都道府県の条例に従う事
  • 通行だけなら、邸宅・建造物・艦船・田畑・立ち入り禁止が明示されている土地以外は基本的に自由

ただし、条例で別途定めがある場合、入会地(村落共同体が共同利用する土地)で地域の決まりがある場合はそれに従わなければいけません。

侵入について

まず大前提として日本人の日本国内の自由な移動は、例え他人の土地であろうと基本的に保証されている(幸福追求権)という事。しかし同時に憲法は住居の不可侵も規定しています。

法律もそれを元に作成され、不法侵入に関する法律は以下の二つです。

◆住居侵入罪(刑法130条前段) ※後段の不退去罪に続く

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

住居侵入罪の対象はかなり狭いです。これだと空き地や田畑・山林が含まれません。それらは次の法律で侵入が禁止されています。

◆軽犯罪法1条32号(立入禁止場所等侵入の罪)

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

1. ~省略~

32.入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

従って法律的には囲いがしてなかったり、立ち入り禁止と明示していない山林には自由に入っていいですが、そこで採取していいかとは別問題で、それは森林窃盗罪に従わなければいけません。

囲いや立ち入り禁止の立て札のない山林は自由に入ってキャンプしても良いです。

しかし、そこに落ちている枯れ木・落ち葉を使ってはいけませんので焚き木をするなら薪を持参しましょう。それについては次項「採取について」を参照して下さい。

採取について

◆森林窃盗罪(森林法197条) ※違法性が小さいので窃盗罪を特別軽くした罪

森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

対象は広く有機的産出物(キノコを含む植物)だけでなく無機的産出物(鉱石)にまで及びます(東京高判昭和46年10月26日)。従って山菜(果物含む)取り・キノコ狩り・鉱石拾いをしてはいけませんし、枯れ木・落ち葉を拾って焚き木をしてもいけません。

しかし、野生の昆虫・鳥獣は無主物であり民法は無主物について「所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する」(民法第239条第1項)と規定しています。従って昆虫採集はしても良いことになります。

※鳥獣については別途『鳥獣保護法』で規定されていますが、「さくその他これに類するもので囲まれた土地」以外では許可なく狩猟をしても良いとあります。

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